石窯のあるベーカリー
駒ヶ岳の麓、赤井川という地域の一角に、小さな煙突からモクモクと煙を吐いている四角い形が可愛らしい建物があります。 大場さんがオーナーを務めるベーカリー「おおば製パン」です。
おおば製パンでは、イーストを使いません。 原料は北海道産。小麦粉と水だけを混ぜ合わせて作った酵母を使用する、昔ながらの製法で、生地を作り、薪を燃やして熱せられた石窯で焼き上げます。
そんな大場さんのパンを求めて、わざわざ町外から訪れる人も多いそうです。
元パティシエ
大場さんの出身は北海道千歳市。道内で建設業に勤務された後、東京の製菓専門学校でお菓子作りを学び、函館にあるフランス菓子の名店「ペシェ・ミニヨン」でパティシエとして腕を磨きました。
そして、約18年間勤めた後、開業に向けた準備をスタートさせます。
大場さんが開業に選んだのは、パティシエがケーキを出すような洋菓子の店でもフランス菓子の店でもなく、パン屋でした。
「パティシエとして働く中で、パンへの興味が湧いていたんです。それに、函館にはその当時、既にたくさんのケーキ屋さんがあったので、パン屋を始めようと思いました。」
パン屋を始めると決めた大場さんは、函館市内にあった自宅を店舗にして、開業のための準備を進めていました。 そんな矢先、大場さんに更なる転機が訪れます。
それは1冊の本との出会いでした。
「cafe-sweets vol.84」(柴田書店刊)です。
cafe-sweetsは、柴田書店が隔月で刊行しているカフェやスイーツ、パンなどの商品や技術、店づくりを紹介する専門誌です。 vol.84では、石窯パンのベーカリーが特集されていました。
「広島にブーランジェリー・ドリアンというパン屋があります。ドリアンのことは、元々知ってはいたのですが、この本を読んでドリアンで石窯でのパン作りを学びたいと思いました。」
ドリアンでの修行を終え、函館に戻ってきた大場さんは、自宅での開業を白紙に戻し、石窯のあるベーカリーを始めるべく、物件探しを始めます。函館をはじめ、北斗や七飯でも探す中、子供の剣道の習い事で縁のあった森町でも探してみたところ、石窯作りにも燃料となる薪の入手にも適した現在の場所が見つかったそうです。
そして2016年、森町の駒ヶ岳の麓で、石窯のあるベーカリー「おおば製パン」がオープンしました。
おおば製パンの石窯は、大場さん自らが作り上げた世界に一つだけの石窯です。
パン・ド・カンパーニュ
パン・ド・カンパーニュは、フランス語で「田舎パン」を意味し、粉(小麦、ライ麦)、塩、水だけで作られる、とてもシンプルなパンです。
おおば製パンでは、北海道産の小麦とライ麦、森町の隣、八雲町熊石産の塩を使用して作っています。見た目はフランスパンのようなハード系のパンに見えますが、外は香ばしく、中はとてもしっとり、ふんわりとしています。
「何にでも合うので、白いご飯の代わりに考えてもらえれば良いと思います。我が家では、キンピラゴボウや切り干し大根をのせて食べたりもします。」
シンプルな素材で作られたパン・ド・カンパーニュは、何にでも合うので、いろいろ試してみて、自分だけの組み合わせを見つけるのもいいかもしれません。
酵母が生み出す独特の酸味が苦手な方は、ハムやソーセージ、チーズをのせて、オーブンで少し温めてから食べるのがおすすめです。
”こだわらない”ことがこだわり
最後に、大場さんのパン作りに対するこだわりについて聞きました。
「こだわりは特にないです。素材も北海道産にこだわっているというより、おおば製パンが北海道にあるから、北海道の素材を使っているというだけの話です。できるだけオーガニックのものを使うようにしていますが、この小麦じゃないとダメだというのはないです。できるだけ材料にはこだわらず、その時その土地で採れた材料で、変わらない味を続けていくことが、一番理想的だと思っています。こだわらないことが、こだわりなのかもしれません。」
おおば製パンでは、今回紹介したパン・ド・カンパーニュの他にも、パンや焼き菓子などを販売しています。
開店直後は、まだ焼きあがっていないものもあるので、お昼頃行くのがおすすめです。
是非一度足をお運びください。
「パン・ド・カンパーニュ」が購入できるところ
今回、ご紹介した「パン・ド・カンパーニュ」はおおば製パンで購入することができます。フルサイズは1200円、ハーフサイズは600円(共に税込)です。
■おおば製パン
●営業時間 AM11:00~PM5:00
●休日 月曜日
●住所 北海道茅部郡森町字赤井川412-132
●電話番号 01374-7-1120
●URL
おおば製パン公式HP(外部サイト)
おおば製パン公式Facebook(外部サイト)
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